ブルベ200km 完走記 7、CP 4 - CP 5 - ゴール
折角ヴェルニゲローデまで来たのに、コースは来た道を戻る。
2時間ほど余裕はあるので町を観光すればできるかもしれないと思ったが、この先何が起こるか分からない。観光はあらたに計画しよう。
スタンドの女性に常套句
「私が最後です、これであなたの仕事は終りましたよ。」
と言う。
主催者クリスティアンは14:45に通過したそうだ。
3時間も先を行っていたのだ。凄い!!
スタンドの主人曰く
「今日はこの先追い風だから楽だよ」
ほっ。
● CP 5までは18km、楽になってきた。
国道244線を北上、確かに楽に走れる。
追い風でもあるけれど、ヴェルニゲローデからゴールのヴォルフェンビュッテルまではだらだらだけど下っているのだ。
シュマッツフェルトを過ぎたところで国道244線から離れる。
畑のなかを直進するトヴァッサーレーベン『水の命』だ。
郡道K1331を使ってベルセルを過ぎたら、もうCP 5のオスターヴィークの地名が見えだした。
CP間が短いと気が楽だなぁ。(ランラン)
オスターヴィークに入った。
古いけど奇麗な町並みが続く。木が多いし道は広くて静かだ。
写真を撮りわすれたけど。
川を挟んで町を見ながら進むと、町外れに次のコントロールが見えた。
● CP 5、最後のコントロールだ。
アラル・ガソリンスタンドに入る。19:05。
このブルベの主催者はCP1,4,5とアラルをCPに使っている。
何か理由がありそうだ(ハンブルクの300kmブルベで様子が分かった)
トイレだけですぐに出発する。残るはわずか(!)30kmだ。
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番外編:
椎間板ヘルニアから薬と注射で動けるようになって買った自転車、初めてちゃんと乗ったのは去年の7月だ。
飲み仲間がサイクリングに誘ってくれたのだ。
メンバーはイラン人と日本人女性のS夫妻、ドイツ人と日本人女性のSch夫妻、それに自分の5人だった。
コースはフランクフルト南の森と畑を通る平坦だけど美しいもの。
15km程度走っただろうか?ポタリングで時速は平均10km/hくらいだったか?
実に楽しかった。
その時はブルベなんて言葉も知らず、10ヶ月後に200km, 300km完走できたとは信じられない。
いまでは30kmは『お散歩』だ。
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20:00を過ぎて陽が低くなってきている。
この分で行けば21:00にはゴールで、所要12時間というところか?
西南西に走る、ただひたすら走る。
シュトェッタリンゲンを町を通過。『シュトェッタルン』は『訥弁』だ。ひどい名前をつけたものだ。
ビューネ、『舞台』のまちを通過。↓
ここで脱線・・・・・
ビューネ、『舞台』は仕事上よく使う言葉だし、小学1年の時、長野市 栗田 源田窪 舞台というところに住んでいた。
わずか1年だったが鉄道官舎(!)に入居したら大量ゴキブリの住処、両親が毎日退治していて、そのうち居なくなった気がする。
亡父がゴム動力飛行機を作ってくれて、大豆島(「マメジマ」と発音)の模型飛行機大会に連れて行ってくれた。父の作ったグライダーは素晴らしいできだったが、当然もっとすごい人がいて、上昇気流に乗って消えてしまい、製作者が自転車で追いかけて行った覚えがある。
父を尊敬したが、その父がなんだか悔しそうな、うらやましそうな顔をしていた。
もう半世紀前のこと、長野駅東口付近は大改造でもう分からない。
ホルンブルクに入る。奇麗な町だ。
と、『鉄道模型の国』看板が目に入った。
入ってみると静かなヴィラの前には小さな庭園があって母子が遊んでいる。
その横にライヴスティームの191mmゲージらしき線路が敷いてある。↓
Schritt fahren (徐行せよ)がほほえましい。
標識の後ろでちょこっと見えている樹の、ちょっと手前に左右に走っているのが線路。(見えないじゃん)
この町で初めて大きなコースミス。町の北に抜けるはずが、太陽の方向を見て何となく不安になって右折した。
このまま行けば東に抜ける事になる。緯度が高い地域の早朝、夕暮れ時は方向が分かりにくいと思った。
通行人に道を聞いて戻る。1.2kmのロス。前回とあわせて2kmのロス。サイクルコンピュータの値から差し引きながら走る。こういう小さな計算が、疲れや不注意を呼んでしまう。
だいぶ暗くなって来た。日没は多分21時頃だろう。なんとかその前にフィニッシュしたい。
だからヘルメットのヘッドライトは未装着だ。
距離が伸びない。さすがに脚に疲れが溜まっている。
?右折でヘドヴィッヒブルク方面??
早速『ガシャッ!』。↓
オーケストラの同僚にヘドヴィッヒというドイツ人女性がいて、よくお隣さんで演奏している。
最近ますます冗談が通じるようになって、本番中に笑いが絶えない人だ。
帰ったらメールに添付しておくってあげよう。つい最近コンピュータ、それもMacBook Proを買っちゃったのだ。
それまでは携帯もなくて、ハイテクはファックスのみという人だった。
ますます暗いけれど、ひたすらゴールを目指す。
初めてのブルベ完走、ゴールで涙が出るかな?と思ったらちょっと『じわっ』と来た。
「いよいよここまで来たか」と思ったのだ。
スタート・ゴールのヴォルフェンビュッテル市に入る。
最後の角を曲がる。Plusスーパーマーケットの角だ。
クリスティアンの家の前で道を横切り、門を入ると3人の男が「??」という顔をした。
次の瞬間
「おお!完走したか?すごいぞ!」
と聞こえた。
自転車を降りてしゃがみ込んだ。
クリスティアン、フラットバー重量車のお兄さん、パンクしたレーサー・サイクリストの3人だった。
少し立ち話をして2人は帰宅した。
クリスティアンには水、コーヒーとサンドイッチをごちそうになるが、あまり喉を通らない。
走行中にたくさん飲んだコーラの甘さが邪魔している感じだ。
彼とブルベの意義や人生観について1時間ほどディスカッションした。
40年間自転車に乗っていない上、初めてのブルベで完走、素晴らしいとほめてくれた。
完
最後に:
皆さん、協力、応援、精神面・物質面での援助など、ほんとうにありがとうございました。
素晴らしい経験です。