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フランクフルトから/Grüß aus Frankfurt

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スイス 2-2、運転室添乗

2008年1月12日(土) (写真は後日掲載予定)

● 運転室添乗:
レーティッシェ鉄道、RhBの新商品『運転室添乗』を見つけた。
内容は、添乗に加えて、
- レーティッシェ鉄道、RhB全線1日乗車券(1等)2枚。
- 信号機説明表、
- 区間解説書(歴史、建設技術、政治、構造物、人物などについて。写真と地図付録)
- レール・ショップが以後20%引き
- 添乗員1名随行(元機関士)
- 写真入り証明書
これでなんと850スイスフラン(約85000円)だ。

コースは4つあって、
Chur - St.Moritz (約2時間)
St.Moritz - Chur (約2時間)
St.Moritz - Tirano (約2時間30分)
Tirano - St.Moritz (約2時間30分)
迷ったがChur - St.Moritzを選択。
1月12日(土)の急行(RE1129)になった。

雨の降る中ベルギュン駅 7:47時発 Chur 行きの急行(RE1120)に乗る。
Churには 9:03時 着。

点呼は9:30時、Chur駅の発車ホーム、機関車の横だ。
それまで軽く朝食をとって過ごす。
今乗ってきた列車が折り返し急行(RE1129)になる。
牽引機関車は最新型の電気機関車、Ge 4/4 III, 541、氷河急行75周年記念塗装車だ。
本当は塗装じゃなくでフィルム張だけど。
運転室にいた1人が降りてきて挨拶を交わす。添乗員の元機関士、Josef Willy(ヨゼフ・ヴィリー)氏だ。列車の機関士はスイス国鉄で通勤、その列車が遅延しているそうだ。
発車15分前に機関士、Christian Fausch(クリスティアン・ファウシュ)氏が現れる。
小柄だが自信と貫録がみなぎっている。

機関車に乗り込むとやはり結構狭い。2人が消えたからと思うと、後部運転室から重い椅子を運んできてくれた。凄いサービスだ。

RE1129は定刻、9:58時に発車。
2人が速度制限、信号の見方、踏み切りでの事故の話等を解説してくれる。

10分も走ってRaichenau-Taminsを過ぎる辺りから雨が雪に変った。
なんと幸運な!

Thusisを過ぎると勾配区間に入る。
レーティッシェ鉄道、RhBは全線粘着運転だ。
今日の路線、アルブーラ線は最高35パーミル(水平距離1000mで35m登坂)、午後に1等車に乗る予定のベルニーナ線はなんと70パーミルだ。
ちなみに碓氷峠の旧線は66.7パーミルだった。
またベルニーナ線に関してレーティッシェ鉄道、RhBと姉妹提携を結んでいる箱根登山鉄道は80パーミルを登る。ベルニーナ線には"Hakone"が走り、箱根登山鉄道にはベルニナ号とサンモリッツ号が走っている。

雪で線路が覆われて機関車の動輪がスリップしている模様だ。

有名なランドヴァッサー石橋に差しかかる。
川の水面からの高さ65m、長さ136m。
そのまま垂直の断崖のトンネルに吸い込まれる。
以外とあっけないなあ。

ベルギュン駅を出発後、35パーミル勾配で動輪が空転、速度が上がらない。
だんだん遅くなり、ついに停止してしまった。
機関士のファウシュ氏
「こりゃ真剣な問題だ。うまくいけば上がれるけど」
と静かに言う。
元機関士のヴィリー氏は「やってみて駄目だったら救援の機関車を頼む事になるな」。
列車ブレーキをかけたまま(機関車と後部に連結された客車群は別々にブレーキをかける事が出来る)、電圧/周波数を上げて行く。そう、この機関車は最新式のVVVF制御だ。
動輪がゆっくりと空転を始めると、すぐに砂をまいた。
同時に客車用ブレーキを外す。
銀/赤の651号電気機関車は、車体を揺らしながら、ゆっくり動輪を空転させ、それでもじわりと前進し始めた。
微妙な操作でやっと歩くほどの早さに持っていけたあとは、徐々に加速する。
次のトンネルまで行ければ線路は乾燥しているから勢いがつけられる。
数分して列車指令から無線が入った。
「止まってたけどどうしたの」
「あー、ザビーネ、粘着の問題があって動輪が空転、停止したが、何とか再起動できた。」
今日の列車指令はザビーネという名の女性らしい。

後で聞いたところ、Thusis で連結した車運車(峠越えの道路は冬季不通なので、列車で自動車を運ぶ事が出来る)が1両多すぎたらしい。
駅員の計算違いか、まあ何とかなるさ、と考えたのか・・・・・・

この先は雪の山を何十ものループ線で上がって行く。
トンネルも多い。
その1つは湧き水が多いので冬季は霜で線路が浮き上がるのだそうだ。
そこで線路にバラスト(線路の石)に雪をかけてある。
別のトンネルには凍結防止のため、寒気が吹き込まないように、列車通過時以外は前後のドアが閉まるようになっている。
いずれにしても素晴らしい景色だ。
ここは全域をもって世界遺産指定に立候補中だ。
平行、立体交差する道をソリが滑っているのが見える。

2人の機関士は機関士魂を持っていた。
私の父が国鉄だった。
鉄道に接して育ってきたので、ドイツ国鉄や日本国鉄の職員にも同じような誇りと自信、責任感を持って働く鉄道員を見てきている。
素晴らしい2人に感動した。

12:01時、サンモリッツに3分ほど延着。
勾配途中での停車による遅れはかなり取り戻せた。
反対側の運転室に機関助士用の椅子を移動する。えらく重い椅子だ。

サンモリッツ駅の簡易レストランで彼らを招待。
ファウシュ氏はすぐに折り返し仕業、短かったが3人で楽しいひと時を過ごした。


12:45時発、イタリアのティラノ行き1633列車に乗車する。
電車2両(ABe 4/4 III)が客車3両を牽引している。
雪は強くなる一方だ。
スノープロウが雪を蹴散らして走る。
行き違いの列車にロータリーが連結されている、ラッセル車を先頭に連結している列車もある。

凄い雪の中、列車は70パーミル勾配をゆっくりとイタリアに向かって降りて行った。
ポスキアーヴォを過ぎる頃から雪が雨に変る。

雨の中Brusioのループを降りて行く頃、周りの建物がイタリア風になってきた。

終着のティラノ駅はイタリアだ。
雪のため定刻より数分遅れ、15:18着。
改札でパスポート・コントロールがあるはずだが誰もいない。
雨の中町に出てみた。

乗ってきた列車が折り返し1664列車になる。
1633列車を牽引してきた2両の電車ABe 4/4 IIIが入換えをして、客車を1両減らした。
今度は先頭が"Hakone"だ。

定時の15:40時発車。
勾配を急カーブでこなしてどんどん上がって行くと、再び大雪の中に入る。

ポントレジーナ到着は18:00時で10分延着。既に薄暗い。
ここでベルニーナ線は左に分岐、サンモリッツに向かうが、
サン・モリッツ発のクァ行き急行には間に合わない。
右に分岐するエンガディン線に乗り換えて、サメダンまで行くと、サン・モリッツからやってくる列車と接続する事になっている。
ポントレジーナ、サン・モリッツ、サメダンが三角形をなしている。

18:02時発車予定のエンガディン線の列車がなかなか現れない。やはり雪で遅れているらしい。
18:13時、やっと発車。ガラガラの1等車に乗る。
牽引機はサイリスタ制御のGe 4/4 IIだ。

サメダン、18:19時着。
クァ行き急行、18:17時発のRE1164がGe 4/4 IIIを先頭に接続待ちをしている。
1等車に乗ったが、計画通り食堂車に移動。
ここでの食事が今日最後のイベント。
周りは真っ暗で何も見えないから、食事に専念しよう。
残念ながら味はたいした事ない。当たり前なんだろうけど後悔。

ベルギュン村の灯が見えてきた。
山の斜面をループやらつづら折りで走行するので、進行方向右に見えたり左になったりしている。
ベルギュン下車に間に合いそうな雰囲気なので、勘定を頼む。

ベルギュンには19:50時頃到着した。
朝7:47から19:50時まで、12時間経っている。

ホテルに帰ると、食堂車のまずい夕食が胃にもたれている。
ビールを飲みにホテルのレストランでグラウビュンデン県の名物、干し肉の盛り合わせを食べたら、胃が元気になった。
by ichironoda | 2008-02-03 09:24 | 旅行/Reise
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フランクフルト市立オペラ首席コントラバス奏者、ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ奏者、野田一郎が、お知らせ、独り言、ドイツ・フランクフルト事情を発信します。


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