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フランクフルトから/Grüß aus Frankfurt

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トリオ演奏、マンハイマー楽派の2作品

2010年11月4日(木)------11月6日(土)、追記、変更。11月21日(日)、またまた追記、変更。

マンハイムのグルメ・レストランで、マンハイム楽派の2作品を演奏しました。





メンバーは以下の3人、つまりトリオです。

2008年に録音したたおさんのWendlingアルバムがやっとできあがりました。
今回の創立20周年を迎えた某社も関係していたので、ここで弾いて欲しいと言うことになったのだそうです。
私もこのCDでは一緒に弾かせてもらいました。個人的なことを書くと・・・・
2008年、椎間板ヘルニアで仕事を休止したあと、初めて受けたコントラバスの仕事でした。

『たおさん』こと 小川 隆 (おがわ・たかし):フラウト・トラベルソ
マンハイム国立劇場のフルート・ピッコロ奏者
今回の言い出しっぺ
コンピュータではプロ級
料理はグルメ級
マンハイム楽派エキスパート(研究、演奏)

『とんさん』こと蓮見岳人 (はすみ・やまと) :テオルボ(キタローネ)・・・(_ _)、違いがよく分かりません。
リュート、テオルボ、キタローネ奏者
ケルンから遠いところをご苦労様
ソロ活動
ヨーロッパの有名バロックアンサンブルでの出演

『いちろー』こと野田一郎 (のだ・いちろう):ヴィオラ・ダ・ガンバ
Bianchi Infinito Veloce 10s フルカーボン・モノコック ロードレーサー
R&M, (リーゼ&ミュラー) Culture Deore 27s シティ・トレッキング、通称『最高級ママチャリ』
え?関係ないって?
え〜〜〜〜と、
フランクフルト銀輪倶楽部会長
スイス、アルブーラ鉄道クラブ会員
フランクフルト市立オペラ、首席コントラバス


11時集合でリハーサル、、、、、のつもりが遅刻しました。
家を出る直前になって同僚から電話、なにやら風邪声です。イヤーな予感が。
的中で、彼氏ひどいインフルエンザ、今晩のヴァルキューレを弾けそうにないけど代わってもらえるか?って。
我々2人が首席なので、片方が弾けなくなるとお鉢が回ってきます。
でも一つ別の可能性があって、副主席に弾いてもらうこと。
そっちに電話するように言って一応飛び入りの準備もしました。
少し待っても電話がかかってきません。きっとうまくいったんでしょう。

たおさん宅に着くと、なにやら愉快な空気が漂っています。
早速紅茶をいただきました。
まずはとんさんと「はじめまして」のご挨拶、ネットやミキシィでのつきあいがあるので、まあ「まるっきり知らない」という訳じゃないんですが、音楽での初顔合わせですから。

リハーサルが始まると思いきや、漫才と落語が始まりました。
いつまでたってもジョークと笑い話がつきません。

12:30頃でしたか、「これじゃいかん、リハーサルしましょ、リハーサル!」
一応全部通して見て、今度はなんだか良い香りが邪魔します。

そう、昼食です!!!!
たおさんはロッシーニなのです。
奥様はそれに輪をかけたロッシーナ。
(注、イタリアの作曲家ロッシーニは売れる曲をたくさん書いて、生活が安定したらパリに移住、グルメ三昧の生涯でした)
エビとルッコラのサラダ
リコッタとバジル詰クレスペーレ、トマトソース オーブン焼き
フランス(でしたよね?)の白ワイン
ティラミス
エスプレッソ・野田スペシアル

素晴らしい料理でした。
ちょっと口では言い表せない。食べないと分かりません。でも滅多に食べられません。ウッシッシ。

ティラミスはちゃんと液体を吸って濡れた感じで口に優しい!

ちょうどほどよくアルコールが回ります。♪~♪ d(⌒o⌒)b♪~♪ランラン
そして再びリハーサル。

マンハイム楽派のこれらの曲、無名だし、譜面づらは単純明快、何も練習するところがありません。
と・こ・ろ・が・・・・
合わせてみると作業が一杯出てきます。
まるで『スルメ』、かめばかむほど味が出るとはまさにマンハイム楽派です。???

楽譜にも一杯間違いがあったり、間違いだと思っていたらやっぱり合ってたり・・・・ふぅ!

とんさんの作業を見ていると、いかに西洋音楽が和音を大事にしているかがよく見えます。
和音でテンポ、リズム、フレージング、アーティキュレーション、等すべてが決まってくるのです。
「そんなことあったり前だろ!」と言われれば、まあそうなのですが、
普段近代オーケストラで仕事をしていると、ここまで追求しませんからね。

2曲ともバロックからクラシックの時代に入っての作品ですが、
バロック的に聞こえるところもあればクラシック調の方があう部分もあったりします。
いずれにしても作曲の構成が単調なので、微妙なニュアンスをうまく付けないと平坦で退屈な音楽になります。
そんなときに、たおさんが緩急、緊張感の変化で流れが色づいてきます。

例を挙げるとヴェンドリングのソナタです。
第1楽章は4分の2で、4小節単位にフレージングが決まります。
ところが繰り返しの直前、終の直前が3小節、つまり1小節たりないのです。
最初はプリントミス(出版ミス)だろうとタカをくくって、1小節付け足そうと言うことになりましたが、
そうするとまったく普通で間が抜けます。これは変拍子的な緊張感を出せる場所だったのです。

こんなにリハーサルが楽しくてうまく行くことって、滅多にないです。
やはりたおさん、とんさんの音楽に対する知識、姿勢と人柄によるものです。

リハーサルを終えたのが18時頃、車で会場に向かいます。
指定されていた18:30、レストランの人は当然いますが、他は誰もいません。
今晩は貸し切り、招待されたお客さんは創立記念の会社からまとまってこちらに向かっているのでしょう。

会場はレストランですが、元々は工場か倉庫の跡です。
入り口の前には引き込み線のポイント(分岐)が地面に埋まっています。
エントランスを過ぎて奥に進むと、そこは白い壁に囲まれた美術館。歴史的事実をモティーヴにした芸術作品が展示されていました。
この美術館はレストランの装飾で、美術館として開館する予定はないそうです。

招待客の集団が入ってきました。
社長さんの挨拶の後。たおさんがひと言、英語で説明しました。
そう、お客様は全世界から集まっているので英語です。

アペリティーフを飲む間、ヴェンドリングのソナタを演奏。
結構みんなうるさいなぁ、まあ演奏会じゃないから仕方がないですが。

ここで我々もレストラン皆さんと一緒にいただきました。

アミューズのヴィッテロ・トナートはいろいろな味が混ざりすぎて、何を食べているのか?というところ。
懲りすぎです。

前菜は甘い白ワインがぴったり決まってお見事!

スープもこれまたワイン(スペインの白)との相性が完璧でした。
お皿にエビをふっくらと火を通したのと野菜、パンの薄切りが入っています。
ウエイトレスが「ここにまだスープが入りますからね(まだ食べちゃ駄目よ!)」。
そんなこと分かってます。ガズパッチョが何か?くらいは日本人でも知っているんだから(ぷんぷん)
そこへお姉さんがフラスコに入れたスープを注ぎました。

ここで我々は一旦退却して新しい攻撃態勢に入りました。じゃなくて次の曲の準備をしました。
カンナビッヒのソナタです。
たおさんのピアニッシモがもう美しいのなんの。特に第2楽章のシチリアーナ!
この3楽器の組み合わせは基本音量がほぼ同じなので、無理なく音楽に集中できますね。

主菜のシカ背肉カレー味・・・・・・
う〜〜〜ん、微妙です。
カボチャは甘みが出てないし、カレーが強くてシカの肉の味が見えない。

でも最強はデザート!
アナナス(パイナップル)が缶詰!
後で考えたら違ったようです。
パイナップルにサフランを加えると缶詰的な味がするのです。


レストランがなんだか落ち着きません。
とんさんの分析によると・・・・・・

デザインの基本が、コンピュータゲームの場面的
色使いが悪い。寒色系ばかりで、大事な暖色がない。床の材質がシチュエーションに合わず冷える。
椅子も腰回りがオープンで冷える。
etc......

そう、なんだか寒いんです。

たおさんの所の昼食の方がレヴェルが上でした。


結論:
素晴らしい音楽仲間と最高の作業ができました。
食事は料理、レストランの内装、スタッフ、それぞれに問題はありましたが、とっても楽しめました。

たおさん、とんさん、ありがとう!!

+++++++++++++++++++++++++++++++++++
会場:マンハイム
三つ星シェフ, Juan Amador氏が経営するレストラン
『Amesa』

イヴェント:某社創立20周年記念パーティ

プログラム:
Wendling : Sonata V, F-Dur
Cannabich : Sonata III, G-Dur

メニュー:
アミューズ・ブッシュ、ヴィッテロ・トナート
フォラグラのマリネ、『ヴァルドルフ』リンゴ、セロリ、クルミ添え
『ガスパッチョ・アンダルズ』キュウリ、パプリカ、トマト、ガンバエビ、白パン
シカ背肉『中国風』パープル・カレー、カボチャ、黒ニンニク
デザート、クレーム・カタラーナ、ヴァニラ、サフラン、アナナス

ワイン:
2006年、リューデスハイマー・クロースターライ、リースリング。アウスレーゼ、ライツ/ラインガウ
2008年、トラスカンパナス、ボデガ・ゴティカ/ルエーダ
2007年、アニマ・ネグラ。クパージュ・エスペシアル、ボデガ・アニマ・ネグラ/ マジョルカ

エスプレッソ(リストレット)
『リストレット』以前は見かけなかった言葉ですが、2〜3年前にスイスで見かけてから、ドイツでも少しずつ聞くようになりました。要するに普通の濃いエスプレッソで、ドイツ語圏系で出てくる薄いエスプレッソと区別するために使うようです。

注:エスプレッソ・野田スペシャル
ひ・み・つ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
by ichironoda | 2010-11-06 21:43 | 音楽/Musik
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フランクフルト市立オペラ首席コントラバス奏者、ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ奏者、野田一郎が、お知らせ、独り言、ドイツ・フランクフルト事情を発信します。


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