ライン下り - 1、2008年9月18日(木)訂正、追記
フランクフルトからスイスへ。
バーゼルからルツェルンを抜けて高速A4号線/E(ヨーロッパ)35号線を走る。
ゴッタルド・トンネル(高速)はヴァカンス客で渋滞しているが、渋滞の直前で国道N2号線におりてアンダーマットに向かう。
椎間板ヘルニアから立ち直ろうと、運動のため自転車を買った。
最初の慣らし運転(何しろ自転車に毎日乗ってたのは40年近く前ですからねえ・・・)のあと「よし、ライン川沿いを全線走ろう!」。
というところまでは以前書いた。
生まれて初めて!
ライン下り - プロローグ
今回は同行者が若い人2名、全員飲食友達。
宿は行き当たりばったりで決めた。
2008年7月18日(金)
曇り空で雨が降りそう・・・・。たまに降った。
ドライブに変更。
国道N2/N19をフルカ峠に向かう。
N19、別名『フルカ通り(Furkastraqsse)』のレアルプで煙が見える!
早速引っかかった。
ここからグレッチ(Gletsch)まで峠越えのアプト式旧線が復活していて、保存列車を走らせているのだ。
Dampfbahn Furka-Bergstrecke (DFB),
フルカ山岳区間蒸気鉄道、訳すとすごい名前だなぁ。
↓DFB HG 3/4 No. 1 "Furkahorn"
Furka峠ではローヌ氷河がまたまたかなり後退していた。地球温暖化の影響なんだそうだ。本当に二酸化炭素が原因なのか・・・・・
↓1週間後に同行した友人Pが撮影。
↓フルカ峠を越えた道は、写真右斜面から谷の奥に見える村、グレッチまで降りていく。その右側の斜面のつづら折りがグリムゼルに向かう峠道、国道N6号だ。
↓そこから見下ろすグレッチ村を通って
グリムゼル峠を超える。
↓峠には残雪のナメクジが・・・・・・
↓この峠の北側は岩が緑の苔でおおわれ不気味だ。
マイリンゲンのギルデ・グルメ・レストランでの遅い昼食は大満足!!
ブリエンツではまたまた引っかかりだ(苦笑)
↓ブリエンツ・ロートホルン鉄道で入れ替え中の5号機。
急勾配をラックレールで上って行くが、ボイラーを水平に保つため前傾姿勢で作られている。赤い客車を山側(つまり上ね)に連結し、自分はいつも谷川(つまり下ね)で列車が滑り落ちないように守りながら走る。
インターラーケンの奥にある山の中の『トゥリュンメルバッハ滝』ではみんな大感激。
帰路は同じ道を辿ってもつまらないのでレッチベルクトンネルを通る事にした。
ベルナー・オバーラント県からヴァリス県に抜けるには車では不可能、峠道も自動車用トンネルも無いのだ。
そこで、BLS(ベルンーレッチベルクーシンプロン鉄道)が列車に車を乗客ごと乗せて鉄道トンネルを抜けてくれるのだ。
区間はカンダーシュテークとゴッペンシュタイン。わずか15分だけど真っ暗なトンネルを車に乗ったまま列車で疾走するのは楽しい!!!
↓2005年ヴァリス県でスキー休暇の帰り。
ヴァリス県側は広い谷をだらだらと道が続く。
やっとMGB(マッターホルン・ゴッタルド鉄道)のオーバーヴァルト駅に着いたのは21時05分。閑散としている。最終列車は21時発車だって!!5分前に出ちゃったの???
ここからまた列車に車を乗せて走ろうと思ったのに・・・・・・・
仕方なくまたフルカ峠をかっ飛ばした。
案の定、アンダーマット村ではもうレストランはオーダーストップ。
1軒だけ入れてくれたけど、味と値段とサービスが・・・・・・・???
2008年7月19日(土)
昨日までの曇り/雨から一転して、今日は青空、涼しい風が気持ち良い。
いよいよライン下りに挑戦だ。
第1段階はアンダーマット(Andermatt)を出発、ライン川源泉から近いオーバーアルプ峠(Oberalppass)までの11km。1450m - 2046mの標高差600mを最高10%勾配で上がる。
国道N19号線、別名『オーバーアルプ通り』
MGB(マッターホルン・ゴッタルド鉄道)のAndermatt駅で同行者が自転車を借りる。
チェコの自動車メーカー『シュコダ』製のマウンテンバイクだ。小柄な彼らにはちょっと大きすぎるようだ。
11時30分出発。
駅から500mですでにつづら折りの勾配にさしかかる。
8.6kmで標高差400mを上がるが、最急勾配10%という代物だ。
すぐに息が切れ始める。大丈夫かなぁ、こんなんで・・・・・・
150m - 200m毎に休憩しなければ上がれない(ヒーヒー)。
ドーピングが必要かも。(*^o^*)
そのうちにペースとコツがわかってきた。
休憩の後は低いギヤで無理せずゆっくり上がっていくのが良いようだ。
27段変速のシマノを、最下段かその上辺りでゆっくり進む。ゆっくりなのは自転車だけで脚は忙しくペダルを漕いでいる。
怖いのは横をすごい爆音で通りすぎるオートバイと自動車だ。
トンネルも怖い。尾灯が点灯するのは自分の自転車だけなので、仲間を先に走らせて最後尾を務める。車に巻き込まれたらやだな〜〜〜〜
もう一つの問題は向かい風。
車だとほとんど気がつかないが自転車ではすぐ脚の負担になる。
横風も怖い。下手をするとガードレールを飛び越して下まで転落しそうだ。
この道は鉄道と並走、氷河急行『グラシエ・エクスプレス』がアプト式ラックレールでゆっくりと登降している(単線)。日本人観光客と思われる人たちが列車の窓から手を振っている。こっちも笑顔(疲れで引きつってるけど)で答える。
写真1:ラックレール区間を登るサンモリッツ行き氷河急行
写真2:氷河急行。電気機関車はマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB), 客車はレーティッシェ鉄道(RhB)との混成。
8.6kmの急勾配区間が終わって休憩。
峠まであと2.4km, 200m差をゆっくり登ることになる。
これが以外と大変だ。疲れている上に直線が長い。
やっとほぼ水平な地点に達した。
横に人造貯水湖、オーバーアルプ湖(Oberalpsee)が青空を反射している。小さな魚が群を成して泳ぎ回っている。
写真3:オーバーアルプ湖(Oberalpsee)
列車の方もここが歯車区間の終始する場所になっている。
歯車を使い始めるときは最徐行だ。
写真4:歯車区間にさしかかる氷河急行
写真5:ラックレール区間と普通区間
左上の『E』はEnde(終点)、歯車区間が終わる事を示す。
裏側には『A』, Anfang(始点)と書かれている。
しばし休んだ後、仕上げに入る。
長いトンネルは湖のほとりに造られ、道路2車線と単線の線路が走っている。
右側には壁が無くて太い柱だけなので湖が見える。だからそれほど暗くないけど追い越しの車・バイクの爆音が反射して怖い。
トンネルを抜けると軽い下り坂、最後にちょっと登る。そしてついにオーバーアルプ峠についた。所要3時間弱。
写真6:オーバーアルプ峠、2046m
峠にはウリ県とグラウビュンデン県の県境が記されていて、写真撮影!
写真7:県境。手前がグラウビュンデン県、向こうがウリ県。舗装の色と質が違う。
道路中央には黄色い丸が書かれている。
道の名前はここからレート・ロマンシュ語の『Via Alpsu(ヴィア・アルプス)』に変わる。
昼食の時間なので県境のレストランに入った。
なんと、建物の一部はウリ県にはみ出しているが、大半がグラウビュンデン県なので、最近施行されたレストラン全面禁煙の恩恵を授かる。助かった!
食事は程度が高く、楽しめた。
峠を散策。
ライン川源泉のライ・ダ・トゥーマ(Lai da tuma)はここから徒歩1時間半かかると言う。
海抜2345m。
すでに4時前なのでさっさとあきらめる。
Lai da tumaはレート・ロマンシュ語の方言、スルシルヴァン語(sursilvan)で、ライ・ダ・トゥーマ。ドイツ語ではトーマゼー(Tomasee)だ。
ライン川はここからグラウビュンデン県首都、クーア(クイーラ)、ボーデン湖、バーゼル、ストラスブール、マインツ、コブレンツ、ケルンを通ってロッテルダムで北海に流れ出る。
18 :00前に帰路につく。風が冷たい。
帰りは楽だ。
ほぼブレーキだけ、20分ほどでAndermattに到着する。
油断するとすぐに60km/h近くになる。怖い!
ブレーキがどれくらい持つのか知らないも怖い理由の1つ。
後で聞いたら、この調子でも1年半は大丈夫だといわれた。
スピードが出ているから横風の影響が強く更に怖い。
あれだけ苦労して登った峠からあっという間に降りきってしまった。
アンダーマット駅で仲間が自転車を返却。
レンタ・サイクル係員は構内機関士だった。
もしやと思い聞いてみたら、やはりアプト式の旧型電気機関車が駅の車庫に在駐していて、見せてくれるという。やったね!!!!
峠越えの後のビールは美味かった!!!!!
2008年7月20日(日)
最終日。晴!またまたドライブ。
まずはゴッタルド峠越えだ。
古い順から旧道、新道、トンネルと3通りあるが、当然旧道を使う。
石畳の悪路だが、自転車で越えている人が多い。いつかはやりたいなぁ・・・・
なんとクラシック・オートバイのラリー中だった。
ティチーノ県側からどんどんあがってくる。
ティチーノ県ではベリンツォーナの手前で進路をグラウビュンデン県方向に取り、サン・ベルナルディーノ峠の旧道を越える。
途中ヴィア・マーラ(悪路)という、そのものズバリの谷で小休憩。
さらにシュプリューゲン(スプルーガ)峠へ。
峠がスイスとイタリアの国境線だ。
イタリア側、湖畔の土産物屋で引っかかって、花をつけ込んだグラッパなどに散財!
ここで遅い昼食を取った。さすがにイタリア、美味い!
急坂のつづら折りを通ってイタリアのキアヴェンナに出る。
こんなところでもまたまた自転車が・・・・・・それもリヤカー付きで。
折り返して再びスプルーガ峠を越える。
↓途中足もすくむ展望台が垂直の崖にもうけられている。
アルブーラ峠に向かう。
ここでも自転車が上ってくる。
岩と瓦礫の峠では雷と土砂降りに見舞われた。
レーティッシェ鉄道のアルブーラ区間は山の中を連続ループとトンネルで通過、とても美しいので同行者を30分ほど列車に乗せる。
こっちは車で下車駅まで飛ばし、同時に到着した。
↓ラントヴァッサー石橋を通過するGe 4/4 III 650番 "Seewis" UNESCO塗装機牽引の列車。同行者はこの列車に乗っている。
↓2008年1月12日(土)撮影。添乗した同型機 651番 "Fideris" Glacier on Tour塗装機。
手前はベテラン機関士のF氏。
このままフランクフルトに帰る。
到着したのは真夜中過ぎの2時頃、峠を延べ5つ越え、830km走った。
3泊4日のスイス(イタリア)旅行、走行距離はざっと1500km、
越えた峠は
フルカ峠(車)
グリムゼル峠(車)
レッチベルク(峠道は無く車を列車に乗せてトンネル通過)
フルカ峠(車)
オーバーアルプ峠(自転車、西側のみ)
ゴッタルド峠(車)
サンベルナルディーノ峠(車)
スプルーガ峠(車、1往復つまり2回)
アルブーラ峠(車、北側のみ)
参考:スイスの地理、地名、説明↓のHP。
[ヨーロッパアルプス 峠ドライブ 写真紀行]